■同時廃止基準(同廃基準)
地域の裁判所ごとに若干の違いがあると思いますが、自己破産の手続を「同時廃止」とするためには、その申立の内容が、あらかじめ裁判所の定める条件(同時廃止基準・同廃基準)を満たしている必要があります。
したがって、明らかに同廃基準に該当しない案件の場合には、あらかじめ管財事件になることを想定した上で、自己破産の準備を進めなければならないでしょう。
(もちろん、その場合でも「少額管財」で済む余地があるかどうかを検討します)
■浪費・ギャンブルなど
形式的な同廃基準とは別の要因、例えば、程度の激しい浪費やギャンブルなどがあった場合にも管財事件となる可能性が高まってきますが、このような場合では「毎月いくら以上を遊興費に使っていたら管財事件」という様な、明確なラインは設けられていません。
もちろん実務上の大まかな目安はありますが、ご本人の収入や生活状態などの具体的な事情や、裁判官の考え方にも影響される部分です。同時廃止で済むか管財事件となるか、あらかじめ展開を予想することが難しいボーダーライン上のケースは少なくありません。
ただ、破産を申し立てる代理人弁護士の側で、裁判所から指摘される可能性のある点を予め十分調査して回答や釈明を行っておき、関係資料も不足なくきちんと揃え、自己破産を申し立てた後で裁判所から指示される調査回答についても速やかに回答する、といった適切な対応を進めることで、なかなか難しい事情のある案件についても、結果的に同時廃止で終わることができたケースは多々あります。
こういったケースでは「債務者審尋」が実施されることも珍しくありませんが、債務者審尋を経て結果的に同時廃止で終わることができたケースも多々ありますから、諦めずに頑張っていただきたいと思います。
(「債務者審尋」が実施された場合、ご本人が裁判所に呼ばれて、裁判官から直接事情を聴取されますが、必ず弁護士が同伴してサポートをいたします。)
このように、法律相談の段階や、自己破産申立書類を裁判所に提出する段階では、同時廃止で済むか、管財事件となるかをはっきり予測できない場合もありますから、無料法律相談の際に個別の事情を詳しくお聞きした上で、弁護士からご説明を差し上げます。
■管財事件になるかどうか判断が難しい場合
管財事件となってしまいそうな要因がある場合、最初から管財事件を前提として破産申立をする選択肢もありますが、明らかに同廃基準をオーバーしている件でなければ、まずは十分調査して内容をきちんと整理した状態で、同時廃止として破産申立をしてみることもあります。ただ、裁判所からの指示により、やはり管財事件となってしまう可能性もありますから、裁判所に納付する管財予納金の工面については別途検討しておく必要があるでしょう。全額の用意ができない場合でも、途中まで積み立てを行った上で申し立てをする場合もあります。
■実際の進め方
このように、破産申立の準備を具体的にどう進めていくかは、個別の事情ごとに様々な選択肢があります。破産申立に至った経緯、ご本人の収入・支出の状況などに応じて適切な方法は変わってきますから、具体的な進め方を弁護士がご提案します。
自己破産手続の進行を最終的に決定するのは裁判所ですから、全てを予測することは困難ですが、できる限りスムーズな解決となるように様々な展開を想定しつつ、事前に可能な調査・聴取は細かく行っておきたいと思います。
ご本人にとっては、事情をいろいろお聞きすることになり、お手数をお掛けすることも多いかと思いますが、結果的にそうしたやり方が、よりスムーズに破産手続を進めることになり、ご本人の免責にもつながっていくと当事務所では考えております。